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それは、まるで祈りにも似て

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2013年8月12日発行/A5/P80/イベント価格:800円/通販取扱:とらのあな様
表紙/口絵イラスト:森鳥人様

<サンプル>

「ん、んん……っ」
 既にペニスは勃起しだらだらと先走りの液を漏らしほんの僅か刺激するだけで射精してしまいそうだ。
 恐ろしい効果であった。
 これが人間であったら理性も何もかも吹き飛び、目の前に居る女性を犯さずにはいられないだろう。サーヴァントである身であるのにその性衝動を堪えるのがとてつもなく辛い。
 何でもいい。
 穴であれば何でもいいから突っ込んで腰を振り立て射精し続けたい。
 と、同事に。
 雄に突っ込まれて受精したい、という欲望も溢れ出しそうだった。
 家畜に反抗されるよりは自ら進んでその愚行を行ったほうが良いと考えた魔術師が男性と女性両方へ作用するように編んだのだろうその術式は、流石封印指定を受けるだけの事はある、とても強力なもので、アーチャーの魔力ではその効果を鈍らせるだけで精一杯であった。それでも徐々にそれが身体を侵して行くのがわかる。いつまで、持つのか。このままではふらふらと街に繰り出し目についた相手を路上で犯しそうだ。
 男でも、女でも、この欲を満たせるのなら相手はそれこそ誰でもいい――と。
(――有り得ない)
 けれども身体の熱は抑えようとする意思をねじ曲げてそれをしろと命じている。
「吐き出ししまえば楽になるってんのに、なーにやってんだか」
「――っ、ラ、ンサー?」
 いつの間にかベットの側に出現していた男に、アーチャーはうろたえた声で返し、ますます身体を丸める。
 圧倒的に強い雄の出現に、呪いはどうやら女性側へと傾いたらしい。その、存在に。甘い声に。僅かに感じられる男らしい匂いに、性感をより煽られ。
 すがりついて、抱いてくれと懇願しそうになる気持ちを無理矢理抑え付ける。
「放って、お、け――私を見るな」
「嬢ちゃんからも逃げ回ってるオマエが一人でそれに対処出来るってのなら別にいくらでも放っておくが」
 凛にこんな姿は見せられない。自分のせいだと後悔するだろうし、発情しきった自分は相手が凛であっても劣情を覚えるだろう。実際に行為に及ばなくてもそう思ってしまう自分がきっと許せない。
「相手が俺ってのが一番オマエのプライドとか色んなモンを傷つけないだろうに」
 何故助けを求めない、と問われて、ゆるくかぶりを振る。
「君にそんな迷惑は――」
 僅かに眉を上げて、ランサーは低く〝命令〟する。
「脱げよ、アーチャー。――裸になれ」
「な……っ」
 性的に高まり無防備なアーチャーには軽い暗示を含んだ命令は効果抜群で。
 武装が解かれ、その逞しい裸体を晒す。
「や……、め、ろ」
 弱々しくかぶりを振るアーチャーに、ランサーが薄く笑う。
「そんなツラして何を言う。強がりもたいがいにしろっての」
 ぐい、と腕を掴まれ、真っ赤になった顔をその目の前に晒させられ。アーチャーは羞恥と怒りを含んだ目でランサーを睨み付ける。
「いや、だ、見るな――っ」
「だから逆効果だって」
「は、なせ……っ」
 この男にはもう既に無防備で恥ずかしい姿を見られている。
 自分からそのペニスにしゃぶりつき精液を飲んだことすら。
 けれどもこんな発情しきった身体を見られるのは嫌だった。
「ラ、ンサーっ、やっ」
 その真紅の瞳で見られているだけで、身体の熱が一気に上がる。掴まれた腕の力強い感触ですらも、快感へと繋がるのは恐ろしい程だった。
「見られてるだけでもうイキそうじゃねぇか」
 滑らかな褐色の肌は内側から滲み出る色欲の為かしっとりと汗に濡れている。
 だらだらと涎を垂れ流す先端はいやらしくひくついて、解放を求めている。つう、と、ぬるついた淫液が幹を伝い落ち、薄い陰毛や滑らかに張った内腿の肌を濡らして行く。
 触れてもいないのに愛撫を求めるように小さな乳首も勃ち上がり、存在を主張していた。
 どこもかしこも、とてつもなくいやらしく――ランサーを誘っている。
「エロい身体だよな、ほんとに」
「き、みは――私を、愚弄するために」
「なワケねェだろ。ほんとにやっかいな術式だな、男は死ぬまで、女は受精するまでセックスさせまくるって、どんなんだよ」
「――ッ」
 改めて指摘されると空恐ろしい。アーチャーはきつく唇を噛みしめて、叫びだしたくなるのに耐える。
 それでも――この恐ろしい呪いが凛にかからなくてよかったと心底ほっとしていた。ランサーの考えは違っていたが。女性であれば受精すれば呪いが解ける。だから凛が受けていたほうが命の危険はなかった。言えば弓兵は激怒するだろうから口にはしなかったが。
 いや、やはりダメだな。ランサーはアーチャーを見下ろしながら独りごちる。サーヴァントの弓兵でさえこのザマなのだ。
 人間である凛であればすぐさまその呪いに精神をやられるだろう。たとえ生き残ったとしても抜け殻の彼女を前に、守り切れなかったとアーチャーも狂うほど後悔するだろう。
 それならこちらのほうがまだマシだ。女が苦しむのを見るのはランサーも嫌だったし、ましてや気に入っている少女だ。
「つーか、我慢しすぎると精神がやられるぞ?」
 今はその身体の欲求に素直に従ったほうがいい、とランサーは続ける。
「ある程度身体が満足したら、少しは効果も薄れンだろ――後は、直接俺の魔力を注ぎ込んで中から治療して効くかどうか、だな」
「……、そ、れは」
「あん時の続きだって思えばいい。たいした意味はない――それでいいだろう?」
 それがいいんだろう?
 ランサーの軽い口調とは裏腹の熱の篭もった瞳に、アーチャーはぎゅっと目を閉じる。
 見ないふりを、して。
 身体を繋げることなどたいした事ではないと――ましてやこれは治療であると。
 そう。
「……無理、だ」
 そんなことは無理だ。
 ランサーに触れられて、正気でいられる自信がない。
 ましてやこんな発情しきった身体でそんな行為をして、何を口走るか。
 憧れていた。
 この、英雄に。
 生まれ付き王者の星の下に産まれた、美しき気高き半神。光の御子。
 蒼き疾風――その逞しくも敏捷な華麗な姿に。
 ただの憧れであれば良かった。
 共に共闘し、その魂に触れ――優しさに触れ。
 アーチャーの頑なな心を、築いた分厚い壁を、いとも簡単に壊した男。
 決して知られてはいけないのだ。
「いや…、だ……」
「聞けねェな」

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正気であったら羞恥に死にたくなるほどの甘く掠れた嬌声が、アーチャーの喉から発せられる。放出を終えてもその怒濤は萎えることはなく、すぐに律動を再開する。ランサーに奥を穿たれるたびには、は、とまるで楽器のように発せられる甘い吐息が部屋を満たした。
「ひっ」
入れたままぐるりと身体を反転させられ、アーチャーは小さく悲鳴を上げる。
無理矢理にねじれたそこは痛みを伴ったがそれすらも気持ちがいいと身体が訴え――もっと、と両足でその腰を挟み込んだ。
ぐちゅぐちゅといやらしい水音がひっきりなしに繋がった場所から漏れ、それすらも耳を犯す。たっぷりと出された淫液が狭い隘路からあふれ出て、入り口で泡立つ。
「あ――、あ、ああっ」
「まだ足りないか?」
「足り、な、い……もっと、注いでくれランサー、私、の中に」
片足を肩に担がれ、入れる位置が変わる。かつてない程奥まで犯され、ひっ、と小さな悲鳴とも付かぬ嬌声がアーチャーの喉から発せられる。
「あっ、あ、ランサー、おく、奥にっ、注いで……っ」

(チィ――予想以上に、手強いな。さっきからルーンで治療してんだが、全然効かねェ)
まさしくそれは呪術であるのか。ランサーが知るどんな術式とも根本が全く違っていて、どうすれば解けるのか全く見当も付かない。セックスによってその欲望を満たし同事に魔力を補給するくらいしか今の処出来そうにもなかった。あるいは時計塔に行けば対処の方法も解るのかも知れないが、それまでアーチャーが保つかどうか。
それに。
こんな珍しい魔術、解く方向よりも管理される方向へ行きかねない。魔術師本人が死んだ今、その成果を封印指定する可能性だってあるのだ。ましてや人間であれば家族や国が煩いだろうが、アーチャーはサーヴァントだ。しかも崇める人のいない英霊では、そのまま監禁され研究のネタにされかねない。幸いにも――アーチャーには不幸にも、魔力と性的なそれを補充する役目を負う若い魔術師ならたくさんおり、中にはその任務を買って出る奴も多数いるだろう。
普段であれば威圧的なその態度と逞しい身体でとてもその気になどならぬ輩でも、このように淫らにあえぐ艶やかな様を見せられれば――犯したいと、その身体に己の精液を注ぎ込みあえがせたい、その唇でしゃぶらせたいとそう思う男も多いだろう。
まるで別の生き物のように、シーツの波に溺れるように身体を投げだし小さく震えるアーチャーはいやらしく、かついとけなく――男の支配欲を誘う。ぐちゃぐちゃに犯してやりたくなる。
そんな事には絶対にさせない、と改めてランサーは唇を噛む。
揺さぶられるままにアーチャーの爪先が揺れる。
蕩けきった表情のアーチャーは、それでも最初の頃のように切羽詰まった感じではなくて、少しだけ安心する。

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