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Offline - Book-list(2015)

天使に聞いてくれ

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2015年12月30日発行/A5/P36/イベント価格:400円

表紙イラスト/漫画ゲスト:らん

<サンプル>

「また会ったな、アーチャー」
「ああ。ラン……いや、キャスター。君も記憶があるのか?」
 何の、とは聞かずとも解った。こいつも、冬木の聖杯戦争の記憶があるのか。
「ランサーとアサシンは別の英霊が召還されたようだが、他は同じ、だな」
 元々、アサシンはハサンが召喚される事になっていたのが、あの時のキャスターのせいで、ああなった。もちろん俺はサーヴァントを召喚するなんて真似はしなかったから、今回はあの気の良い侍の姿は無かった。
「さて、どうする? わざわざ姿を見せてくれたって事は、俺と勝負してくれるって事か?」
「キャスターの君と?」
 くっ、と小さく笑うそれが、たいそう気に入らない。確かに、キャスタークラスは直接の戦闘には向いていない。しかし、マスターを失って、逆に無尽蔵に魔力を吸収出来る今の状況、戦い方はそれこそたくさんあるさ。
「甘く見るなよ、弓兵。我が魔術、その身で試して見るか?」
「君も知っての通り、私とて魔術師のはしくれなのでね
――この状況では、君に分があるとは思え無い」
 魔力を無尽蔵に使えるのはこちらも同じだと、唇の端を上げる。
「はっ、半人前が偉そうに」
「槍を持たぬ君など、恐れるに足り無い」

 人間なんてものは、ほんとうに面倒くさい生き物だ。
 おまえはその中でも、一級品だった。
「君は――」
 アーチャーが、唇を噛む。
「時折、かつての私を引き合いに出すが……あれは、私であって、私では無い」
「で?」
「……ッ」
「だから、何だ?」
 第五次聖杯戦争。
 冬木の地で行われた、戦い。
 あの時俺たちは出会い、戦い、そうして。
 記憶がある。
 穿った心臓の手応えも、切り結んだ剣の鋭さも、俺の槍を防いで見せたあの盾も――。
 抱きしめた身体の熱も。匂いも。
 覚えている。
 ――これは確かに、俺の記憶だ。
「私は、君が、心を寄せた〝アーチャー〟では……」
「俺だって〝ランサー〟じゃねェよ」
 同じ英雄を元にしている分霊であっても。

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